Life Size Cribe/東京都

Life Size Cribe/東京都
コーヒー専門店のリニューアルに伴う特注家具製作
東京・国分寺のコーヒー専門店「Life Size Cribe」にて、店舗リニューアルに伴う家具製作を担当しました。
今回のリニューアルは、店舗オープン時から空間づくりを手がけてこられた建築家による設計のもと進められたものです。当社では、その設計意図をもとに、これまで納品してきた家具の材料を活かしながら、新たな使い方に合わせた家具製作を行いました。
当社では2019年のオープン時にも、当社では壁付けベンチシート、スライド式サイドテーブル、カウンター天板などを製作・納品させていただきました。木の温もりを感じながら、気軽にコーヒーを楽しめる空間として、多くのお客様に親しまれてきた店舗です。
オープンから6年が経ち、コーヒー豆の取扱量が増えたことで、店内には新たな保管スペースが必要になっていました。一方で、来店されるお客様も増え、限られた面積の中で客席数を確保することも課題となっていました。
そこで今回は、家具をすべて新しく作り替えるのではなく、これまで使われてきた家具の材料をできる限り再利用することになりました。
再利用したのは、国産のミズナラとオニグルミ。現在では貴重で、高価になりつつある材料です。6年間この場所で使い込まれてきた家具には、素材としての価値だけでなく、店舗とともに重ねてきた時間があります。
既存ベンチに使われていたミズナラ材は、壁面のスタンディングカウンターと荷物置きへ。スライド式サイドテーブルに使われていたオニグルミ材は、スツールの座面へと転用しました。
家具を解体し、材料の状態を見極め、寸法を整え、新たな用途に合わせて再構築する。新しく製作する場合とは異なる難しさがありますが、素材と構造を理解する職人の技術によって、以前の家具の面影を残しながら、今の店舗に合う家具へと生まれ変わらせることができました。
新たに設けたスタンディングカウンターと軽量なスツールにより、立って過ごす、腰掛ける、荷物を置くなど、お客様それぞれの使い方に合わせられる空間になりました。客席数の確保とコーヒー豆の保管スペースという課題に応えながら、店主が大切にされてきた「気軽に立ち寄り、コーヒーを楽しめる場所」という空気感も受け継いでいます。
リニューアル後、店主からは次のようなお声をいただきました。
「奥まで視線が通る店内の原風景が戻ったことがとても嬉しいです。以前は豆置き場やスタッフスペースのようになっていた店舗奥側も、カウンターが連続することで店全体が広く感じられるようになりました」
また、再利用した家具についても、
「これまで6年間、たくさんのお客さまを迎えてきたベンチとテーブルは、このタイミングを悟っていたかのように味わい深い表情で、まるで“最初からこのままだった”ように全く違和感なく空間に馴染んでいます」
という言葉をいただきました。
新たに設けられた壁向きの席やスタンディングスペースでは、お客様がスツールの向きや座り方を自然に選び、会話や読書など、それぞれの過ごし方を楽しまれているそうです。
新しく作る方が簡単なこともあります。
それでも、使い込まれた材料を活かし、もう一度その場所にふさわしい家具として組み直すことで、店舗の記憶を受け継ぐリニューアルとなりました。
時間を重ねた素材と、職人の技術があってこそ実現した、特注家具ならではの納品事例です。


設計者による改修のポイント

・既存ベンチのミズナラは壁面カウンターと荷物置きへ、サイドテーブルのオニグルミはスツール座面へ転用。素材の記憶を新たな使い方へつないだ。

・店舗の入り口を入った手前のカウンターエリアは、既存ベンチ材を上下に分け、上段をカウンター、下段を荷物置きに。限られた壁際に、飲み物と鞄の置き場を確保。


・ スツール座面には手掛け穴を開け、立つ人・座る人が混在する店内で、軽く持ち運べるよう配慮した。脚はスチールの三本脚とし、余分な要素をそぎ落として軽量化。

・店舗奥までカウンターを引き込み、豆置き場や作業台と連続させることで、途切れていた視線と奥行き感を取り戻した。
■製作内容
- 既存家具の解体・材料再利用
- 壁面スタンディングカウンター
- カウンター下荷物置き
- スツール
■使用材
- 国産ミズナラ
- 国産オニグルミ
- スチール